こんにちは、ショウイチ(@shoichi_infosys)です!
ヘルプデスク業務をチャットツールを使って対応している企業は多いと思いますが、以下のような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
- 問い合わせが担当者にDMで送られてくるので共有、管理が出来ない
- スレッド上でやり取りをするため、ステータスがわかりづらい
- 社内ポリシーで問い合わせを受けるパブリックチャンネルに担当者を追加出来ない
私の会社でもワークフローやJIRAなどで問い合わせ先を用意していてもユーザーが急いで対応して欲しいこともあり、すぐに連絡が出来るチャットツールで担当者に直接連絡が来てしまい、問い合わせを管理出来ない問題が発生しています。
今回は上記の問題を解決できるツール『Halp』について解説していきます。
Halpとは?
『Halp』はSlack、Teams内で統合されたヘルプデスクチケットと自動回答のシステム「Halp Tickets」を開発するアーリーステージのスタートアップが開発したツールです。
Slackで受けた問い合わせをHalp上でチケット化し、各チケットの進捗をステータスで管理、対応完了までの対応時間などを数値化することができるツールとなっています。
2020年5月にAtlassian(アトラシアン)が買収しています。
プランは3つ(Standard、Premium、Enterprise)用意されています。プランによって利用できる機能が違いますので、以下の表を参考にしてください。
引用元:https://www.ricksoft.jp/atlassian/halp/halp-pricing.html#features
Halpで何ができる?
パブリックチャンネルで投稿された内容を、トリアージチャンネルと呼ばれるプライベートチャンネルに内容を連携しSyncすることが出来ます。
問い合わせする人が参加するチャンネル = リクエストチャンネル
問い合わせの対応をする人が参加するチャンネル = トリアージチャンネル
会社のポリシーに合わせて問い合わせ対応が可能
私の会社では業務委託社員が問い合わせ対応を行うケースがあるのですが、業務委託社員は社員が参加しているワークスペースとは別のため、業務委託社員が参加できるようにマルチワークスペースチャンネルにする必要があります。
ですが、社内のポリシーでパブリックチャンネルをマルチワークスペースチャンネルにすることが禁止されているため、ヘルプチャンネルの問い合わせ対応を業務委託社員に任せることが出来ない状況でした。
このような状況でもHalpを利用すれば、業務委託社員が参加できるプライベートチャンネルをトリアージチャンネルとすることで内容をSyncすることが出来るので業務委託社員が問い合わせ対応をすることが出来るようになります。
問い合わせのステータスを管理できる
トリアージチャンネルにSyncされた投稿はHalpでチケット化されるのでエージェント登録したユーザーが各Halpチケットの進捗管理をすることが可能です。
ステータスなどでフィルターをかけて、どの問い合わせ対応が完了していないか、誰も対応していない問い合わせがないかを確認することが可能なので対応漏れを防ぐことが出来ます。
DMで届いた問い合わせも管理できる
担当者が決まっているシステムの問い合わせは直接担当者にDMで問い合わせが来るケースも多いかと思います。
Halpを利用すれば、指定絵文字でリアクションすることで、絵文字リアクション時に指定したトリアージチャンネルにHalpチケットを作成することが可能です。
個人にDMで来た問い合わせもメンバーに共有することが出来ますし、チケット化することにより対応漏れを防ぐことが出来ます。
Halpチケットを起案できるのは1対1のDMのみになります。複数メンバーが参加しているグループDMからはHalpチケットを作成できないので注意が必要です。
レポート機能で詳細な分析が可能
Halpではレポート機能も備えており、問い合わせ対応に着手するまでの時間から解決までにどのぐらいの時間がかかったかを分析することが出来ます。
曜日などで初動に差があったり、問い合わせが多い日付を分析することで問い合わせの体制を組む参考にすることが出来ますし、問い合わせが発生する要因やボトルネックを特定することも可能なのでヘルプデスクを強化することが出来ます。
ITSMソリューションとの連携
Halpでは以下のツールと連携することが可能です。既存の使い慣れたツールを利用しながら問い合わせ対応窓口を Halp に一本化することができます。
- Jira Service Management
- Confluence
- Zendesk
引用元:https://www.ricksoft.jp/atlassian/halp/halp-features.html#features
自動応答(Halp Answers)
Halpには自動応答機能である『Halp Answers』があります。こちらでは問い合わせ文に含まれるキーワードやフレーズを元に、登録済の定型文をチャット上で自動応答することが出来ます。
ただし、英文のようにワードが区切られていないとキーワードを判別できないので、キーワード登録には注意が必要です。
Halp利用に向けての事前設計
Halpを利用するために事前に決めておく設計があります。
Slackに必要なチャンネルを作成する
Slackに下記のチャンネルを作成する必要があります。
チャンネル | 説明 |
リクエストチャンネル | ユーザーが問い合わせをするためのチャンネル ※ Pablic、Privateどちらでも可 |
トリアージチャンネル | ユーザーが問い合わせた内容に関する対応を行うためのチャンネル ※ Privateのみ ※ マルチワークスペースチャンネルは不可 |
リクエストチャンネルとトリアージチャンネルの関係性は1対1、N対1のみになります。N対Nや1対Nにすることは出来ないので注意してください。
Halpチケット化の条件を決定する
Halpのチケット化にはいくつか方法がありますので、使いやすい方法に合わせて設定をします。
条件 | 説明 |
絵文字リアクション | 絵文字でリアクションを行うとHalpチケットが作成され、トリアージチャンネルに同期される |
自動生成 | リクエストチャンネルに投稿された問い合わせが全てHalpチケットが生成され、トリアージチャンネルに同期される |
フォーム入力 | ショートカットからフォームを利用して問い合わせ内容を入力し、入力された内容でHalpチケットを生成され、トリアージチャンネルに同期される |
Halp利用の注意点
Halpの利用を始めて、いくつか注意点を発見しました。ユーザーへの問い合わせ方法の案内などでカバーできるので、気をつけていれば利用自体には問題ありません。
- トリアージチャンネルに参加したメンバーすべてにエージェント登録される仕様で、購入ライセンス以上のエージェントが登録されると自動課金されてしまう
- Halpbotを招待される前に投稿された問い合わせはHalpチケット化することが出来ない
- 一度クローズした問い合わせのスレッド上で再度問い合わせをしてもチケット化されない
- Slackで翻訳botを利用している場合は注意が必要
トリアージチャンネルにメンバーが追加されると自動でライセンスを消費してしまいますので、管理者側で管理をする必要があります。
Halp導入前の問い合わせについてはHalpチケット化されないので、手動でチケット化するか新たに問い合わせ用のリクエストチャンネルを作成してください。
一度クローズした問い合わせのスレッド上に新たに問い合わせが来てもチケット化されません。私の会社ではユーザーに新たに問い合わせがある場合はスレッド上ではなく、新たに投稿してもらうように周知をすることで回避しています。
私の会社ではSlackで翻訳botを利用しているのですが、翻訳された投稿もチケット化されてしまいます。こちらは現状解決策が無いので運用でカバーしていますが注意が必要です。
まとめ
- Halpを利用することで問い合わせ業務を効率化することができる
- 問い合わせを一元管理できるので、対応漏れを防ぐことができる
- 出来ないこともあるので、運用でカバーする必要がある
今回は問い合わせ業務を効率化するツール『Halp』を紹介させていただきました。情シスや社内SEの方でヘルプデスク業務に工数がかかっていて困っている方は、Halpを利用してヘルプデスク業務を効率化して、システム導入などのプロジェクトに注力できる体制を整えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ業務で困っている方の助けとなれば幸いです。